ミリオンダラー・ベイビー

 クリント・イーストウッドモーガン・フリーマン好きとしては見ないわけにはいかなかった、それがこのミリオンダラー・ベイビー
 自分でやりたくは無いけど見るのは好きなスポーツランキングでトップを独走するボクシングが題材でしたし、きっとヒラリー・スワンククリント・イーストウッドで世界を目指すスポ根物なんだろうなぁ、ああ、感動しそう。
 と、感動する気まんまんで挑んだところ、感動しました、本当に。
 期待度が高すぎると、往々にして肩透かしを食ったりするものなのですが、ある意味肩透かしを食らいつつ深く感動した次第です。
 3人の演技が実に素晴らしく、映画にのめりこめました。ヒラリー・スワンク演じるところのマギーは、がっしりした感じで、純粋にボクシングが好きで強くなりたいと思う田舎娘っぽさがでており、主役をみごとに演じきってました。漢(おとこ)です!応援せずにいられない真摯さをもつ素晴らしい人物。最初は相手しようとしなかったクリント・イーストウッド演じるところの名トレーナー、フランキーも彼女の真摯さに打たれたのかいつしかやる気になり、コンビが誕生し、二人で世界への階段をのぼっていくんです!ちなみにモーガン・フリーマンはフランキーのジムで働く元ボクサー、スクラップ。優しいまなざしでマギーやジム生たちを見守るええおっさんです、ああかっこええ。
 で、ボクシング物としてもとても楽しく見れました。悲惨な家庭環境にもめげずに頑張りつづけマギー。いつしか強い信頼で結ばれる師弟。素敵です。人と人の信頼って素晴らしいもんですね。この2人の間にあるのは強い信頼。師弟愛というよりは人間愛ではないかなぁと感じました。
 しかし、それだけでは終わらないのがこの映画。驚きの展開で全く別の衝撃を観客に叩きつけます。打ちのめされます。
 フランキーがマギーにつけたリングネームの意味が分かった時、思わず落涙です。あんまり映画館で泣きたくないんですが、こらえきれないこともあります。
 冒頭のモーガン・フリーマンによるモノローグにでてくる『尊厳を懸けた闘い』という言葉を、最後になって思い出しました。本当に人生っていろいろある。だから苦しむこともあっても、素敵なんだよなぁと。あらためてしっかり感じ入って見終えました。
 この映画をみたら、いろいろと考えるだろうと思います。
 色んなものを投げかけてくれる、単に感動させるだけじゃない、素敵ないい映画だなぁと思いました。