父親たちの星条旗

【ワーナー公式】映画(ブルーレイ,DVD & 4K UHD/デジタル配信)|硫黄島からの手紙
というわけで、本日(といっても、もう昨日になりますが)見たのは、クリント・イーストウッドによる「硫黄島」二部作の第一弾『父親たちの星条旗』です。


クリント・イーストウッドは、私の好きな俳優さんですが、監督としても好きで、かなりの名作を生み出しています。
そんなわけで、今回の硫黄島2部作も、大期待して、今回の一作目『父親たちの星条旗』を見てきたわけです。


期待をかけすぎると裏切られることが多々ありますが、これは期待を裏切らない出来でよかったです。
楽しい映画ではないですが、いい映画です。


少々ご紹介を。
父親たちの星条旗』は、クリント・イーストウッド監督によるアメリカ映画。脚本はポール・ハギス
硫黄島二部作と銘打って、太平洋戦争時、硫黄島での激戦をアメリカ側・日本側の両方からみた作品を撮ると言う試みで作られた、その第一作。アメリカ側からみた硫黄島戦にまつわる話で、硫黄島星条旗を立てる場面を写した写真*1。その写真の真実と、その写真に写った兵士たちのその後が語られます。
クリント・イーストウッドはこの映画の音楽も担当しています。多才な人だなぁ。


それにしても、見終わって思うのは、戦争は悲惨なものだなと、絶対に嫌だなと。
戦争映画をみるといつも思うんですが、今回もそう思いました。もはやこれは前提か。当たり前の感想といえば、そのとおりなんですが、そう思ってしまうものは仕方ない。
だって、ほんとに悲惨なんですよ。
みていただけるとわかるんですが、劇中の兵士も自ら悲惨だというくらい悲惨な戦い。
あんな場所に居たいとは微塵も思いません。
冒頭、硫黄島への砲撃シーンがあるのですが、なるほど、これは地形が変わると形容されるだけはあると思いました。
あとは、硫黄島へ上陸する部隊の数。尋常ではありません。日本が勝てるわけが無い。
そう思わせる圧倒的な数。
にもかかわらず、アメリカ軍が楽勝だと思っていた戦いは予想以上に苦戦を強いられた、その辺は次回作の方でも詳しく語られていくものと思われます。


上陸後の戦闘シーンですが、他の映画を引き合いに出すのは反則だとは思うんですが、有名な映画なので勘弁いただくと、『プライベート・ライアン』の戦闘シーンくらいの映像です。悲惨のひとこと。


ただ、この映画、やはり二部作で、次回作では日本側からの硫黄島が描かれると言う安心感からでしょうか、アメリカ側のみの視点で描かれていますが、偏っているとは全く感じません。そう言う違和感が無い。自虐的な視点に立っているようにも思えない。かなり客観的な視点の映画ではないかなと思います。


骨格となるのは、硫黄島星条旗を立てた兵士たちのその後の話なのですが、時系列はシャッフルというか交互に編集されています。
写真に写ったことにより英雄に仕立て上げられ、戦争用国債を国民に買わせる広告塔となる3人の兵士たち、全土で広告をしてまわる、その合間にフラッシュバックで硫黄島の激戦が挟まれ、真実が語られていきます。
兵士達の苦悩が描かれており、戦争で幸せになる人など居ないのだなということがひしひしと伝わってきます。


しかし、この映画を見て知ったのは、アメリカ側も当時かなり疲弊していたという事実です。
もし、あの写真が無ければ、もしかしたら歴史は変わっていたのかも知れません。
あの写真ひとつが、国威発揚と資金集めに利用され、アメリカは勝利へと突き進んでいくことになるわけです。
写真に写され、生き残った3人が広告塔として扱われるさまをみていると、どこの国も似たようなことをするのだなぁと思いました。日本でも、生きたままと言う例は知りませんが、亡くなった方を利用した例はあったように思います。
戦争が、国が英雄を作り出す。英雄であるのではなく、英雄として祭り上げられる。そういう場面を見せ付けられた気がします。


実は、この映画の最後には、次回作である『硫黄島からの手紙』の予告編が流れます。
世界の*2渡辺謙さん主演で、日本側の視点から硫黄島の激戦が描かれます。この第一作とリンクする部分もあるのでしょうが、そういう小手先の繋がりではなく、大きな意味で繋がっている映画なのではないかと思っています。とても楽しみです。12月6日9日(土)公開。見る見る見ます。


***追記・訂正 日付確認するの忘れてました、12/9の土曜ですね。 2006.10.29 1:40

*1:誰もが見た事があるのではないでしょうか、あの有名な写真です

*2:という冠も大げさではなくなりましたね