ダ・ヴィンチ・コード

一言で言えば、私が悪い。
そんな気分になった映画でした。
何が悪かったか。「期待のかけすぎ」ですね。


まぁ、そういうわけです。


さて、『ダ・ヴィンチ・コード』について少々ご紹介。
ダン・ブラウン(だん・ぶらうん)による小説を原作としたアメリカ映画。
監督はロン・ハワード(ろん・はわーど)。主演はトム・ハンクス(とむ・はんくす)であります。
他にも、ジャン・レノイアン・マッケランオドレイ・トトゥ(おどれぃ・ととぅ)さんなど脇も豪華。
オドレィ・トトゥさんは、遠目でみると、ゼタ・ジョーンズを二周りほど小さくした感じで可愛かったです。
ストーリーは、ルーブル美術館で殺人事件が起こり、そこにあったダイイングメッセージの暗号を解きつつ、何ものかに追われていき、果たして。といったかんじのサスペンス映画です。あまり、別の映画を引き合いに出すのもどうかとは思うのですが、誤解を恐れずに言えば、アクションの薄い『レイダース』といったところでしょうか。


ダ・ヴィンチ・コード(上)ダ・ヴィンチ・コード(中)ダ・ヴィンチ・コード(下)
いやですね、映画を見ていて、原作は面白いんだろうなとは思ったんですよ。映画はですね、どう考えても説明というか内容が足りてない感じがするわけです、私の期待する内容になるには、ですが。
普通の、本当にごく普通のサスペンス映画としてならこれで充分です、普通に楽しめるはずです。ただ、間違ってもミステリーではないと。そこのところ私は思い違いをしていたので、悪いのは私だと。そういうわけです。
だから、最初からこれがサスペンス映画だという覚悟の上で見ていたとしたら問題はなかったんだろうと思うんですが・・・。やっぱりちょっと残念ではあります。今回は前情報を完全に遮断して見に行ったのが仇になった格好です。やっぱりいくらかは、せめてジャンルくらいは把握して見に行くべきかななんてことを思いましたが。
もう少し衒学的というか、薀蓄みたいなものをみたかったなぁとは思います。その辺の成分が薄い。


この映画の肝は、「ダヴィンチ作、最後の晩餐の新解釈から導き出した、キリスト教の新事実」という部分だと思われますが、この部分の解説を聞いていて、「おー、すごい」と思えるかどうかが、この映画を楽しめるかどうかの境界線になるかもしれません。
私は、一般的な日本人であり、初詣もするし教会での結婚式にも参列するし仏様に手を合わせもします。そういうごくごく普通の現代日本人的宗教感を持った日本人だと思います。
で、そういう私ですから、↑の話を聞いても、「へぇ・・・」くらいにしか驚けなかったわけです。まぁ、このあたり個人差あるとは思いますが。世界中でベストセラーになったり、話題になったりしている肝心のこの部分に対しての感動が薄い。という事実。
正直、騒ぎすぎなんじゃないかなぁと、見ている間ずっと思ってましたが、敬虔な教徒の人たちには許しがたい部分があったりするのかもしれないなぁとは思いますけれど。
けど、これ騒いだら負けじゃないかなぁと・・・。いや、どうみても、ねぇ。
もちろん、よく出来た話だなとは思うんですけれど、すんなりとは受け入れがたいというか、この辺の話が、物語の事件性の部分*1とも繋がっている為に、「どうみてもつくり話じゃないの?」的疑念がずっと付きまとっていて、素直に驚いたりできなかったです。
だから、この話がノンフィクションとして出版され、ドキュメント映画として出来上がっていたら、素直に驚いたのかもしれないわけです。この『ダ・ヴィンチ・コード』では、つくり話の部分と繋がってしまっているがために、エンタテイメント映画であって、すんなりこの辺の話を信用しがたくなってしまってると。
ていうか、これフィクションですよね?


よく出来た歴史小説、とくにif物というか、歴史の新事実物というジャンルがあるわけですけれども、そういう本をいくつか読んでいると、本当にそうなんじゃないかと思わされることもよくあるわけです。その辺の知的好奇心を刺激されるのが心地良いというか。ただ、そういう小説は大概が歴史物として独立してます。混ぜてない。この『ダ・ヴィンチ・コード』のように、普通のミステリー小説的部分と混ぜていると、そのあたりの信頼度が下がるわけですね。まぁ、逆に、親切だなとも思ったりするんですけれど。
ただ、上で原作はおもしろいんじゃないかと思ったというのは、このあたりの説明にもう少し筆が割かれていて、真実味が増しているのではないかと思ったからなんです。もしかして・・・と思えるほど面白いものだと思いますし。
私としては、もう少しそういう説明的部分をもっと見たかったなと、エンタテイメント映画に対しては酷な要求かもしれませんが、そう思います。ただのサスペンスなんだもんなぁ・・・。
じゃあ、原作読めばいいじゃないといわれそうですが、読むつもりは今のところありません、わっはっは。
だって、映画見れば原作の内容わかると思ったんですよ・・・。いや、実際わかりはしたんですが、求めるところが違う。


なんかおんなじこと何度も書いてる気がしますが、ご容赦ください。


映画の内容に少し突っ込みいれてみたいと思います。


まぁ、上で散々言ったように、この映画はサスペンス映画なわけなんですけれども、だとしてもちょっとねと。思うところはややありましたよ。
まず、ストーリーがわかりやすすぎる。
サスペンスとしてはあまりに安直な筋立て。
黒幕も、捜し求めていた人物も、まんま。裏が無い。
「さすがベストセラー!」
さすがの私も、少々驚きましたよ。
まさか私が「まさかこうはならないよね」と思ったとおりの展開になっていくとは。
あまりにもストレートすぎてびっくりです。
サプライズが無いということがサプライズ。みたいな。
ちょっと脚本家読んできて説教したい気分になりました、あなたはそれでいいんですかと。
もっとも、原作自体がそうなっている可能性はあります、というかたぶんそうでしょう。
だとするとわからないではないわけです。
彼が書きたいのはキリスト教に関する部分であって、サスペンス部分はおまけな訳ですから、おざなりなストーリーでもしかたが無い。むしろ、サスペンス部分は単純であればあるほど良いということなんだろうなと。
ベストセラーというのは、単純でわかりやすいほど受けが良いが故にベストセラーなのだろうという偏見を持ってるんですが、この映画を見てると、やっぱりそうなんじゃないかなぁとしか思えません。


最後の探していたアレが明らかになるシーン付近なんですけど、一瞬かの名作*2アンブレイカブル』思い出しました、私は。
だからなんだといわれても困るんですが、思い出しちゃったんですよ。


書くべき良い部分もあります。
ロケ地は美しかったです。
ルーブル美術館なんかは、是非一度は行ってみたい場所です。
ロンドンもなかなか良い街ですよねぇ、観光してみたい街のひとつです。
あともうひとつ、実際に自分で自分を鞭打つ人というのがいるんだなということを知ることが出来ました。あんな事するのはファルネーゼさんくらいだと思ってたんですが、もしかしたら現代にも存在されるのかもしれません。宗教はわかんないもんだなぁ。ああそうそう、そうです、私自身が宗教に対して理解が薄いという事実にも改めて気がつかされました。日本だとそれで苦労はないですものね、日本人でよかったなと思ったり。


散々言ってきましたが、話の種にはなるかもしれません。私としては、MMRを映画化してもらって、その時の世界の反応を知りたいなぁなんてことも思いましたが。

*1:殺人事件とかそういう話

*2:いや、私は好きですよ、ほんとに